『やりすぎ!!!イタズラくん』の場合(続)

『やりすぎ!!!イタズラくん』という漫画の作中で、チンギス・ハーンの肖像画を落書きする場面が朝青竜氏の逆鱗に触れ、モンゴルの人々から抗議活動を受ける騒動がありました。

この件は、こちらで詳しく書きました。今回はその続きです。当初はリンク先の記事を加筆するつもりでしたが、分量が増えたので別の記事にしました。

こちらのページによると、2月26日に小学館の前で在日モンゴル人による抗議活動が行われました。100名前後集まったとのことです。なお、ここで言う「モンゴル人」とは民族としてのモンゴル人の自己意識を持つ人ということで、必ずしもモンゴル国籍とは限らないようです。中国の領土になっている内モンゴルの出身者、つまり中華人民共和国の国籍を持つモンゴル人もいるそうですし、もしかしたら他の国籍を持っている人もいるかもしれません。

この抗議活動では、「雑誌の自主回収」、「チンギス・ハンの肖像画への落書きコンテストの中止」、「作者の吉野あすみ氏本人の謝罪」の3点が要求されたそうです。

このうち、「チンギス・ハンの肖像画への落書きコンテストの中止」の要求は小学館も受け入れました。この要求は完全に通りましたね。

また、紀伊国屋やジュンク堂などの書店も続々と自主回収を行っています。もっとも、今も置いてある書店もありますし、本日(3月3日)ファミリーマートで『コロコロコミック』の3月号が販売されているのを見ました。なので、この要求も通ったもののまだ不十分といったところでしょう(こんな事を書いている私も購入して、今も手元にありますが)。

さらに書いてしまいますと、『コロコロコミック』の3月号は(2018年3月2日時点で)アマゾンでも買えますし、ネットオークションで価格が高騰したという報道もあります。

さて、問題は原作者の吉野あすみ氏の謝罪です。吉野氏は今もツイッターを非公開にして、一切の弁明も謝罪も行っていないようです。この要求だけが全く通っていないわけです。吉野氏が自身のツイッターに鍵をかけた行為は、小学館の意向か吉野氏の独断かは分かりません。まあ、ツイッターはどうでも良いですが、早く小学館を通じて、できれば在日モンゴル人の前で、弁明か謝罪を行うべきでしょう。

モンゴル人の側の要求と小学館の対応をまとめると、以下の通りです。


1.雑誌の自主回収→△実現したがまだ不十分
2.チンギス・ハンの肖像画への落書きコンテストの中止→○実現済
3.作者の吉野あすみ氏本人の謝罪→×まだ実現せず


というわけで、要求は半分のみが通ったことになり、現時点での小学館の対応は100点満点中50点といったところでしょう。

この記事で、私は小学館がとるべき対応は、以下に自己引用する二つだと主張しました。


以上、私の言いたい事をまとめると、謝るなら徹底的にモンゴル人の側に配慮して、雑誌の回収などの措置を取れ。そうする意志が無いなら、謝らないで表現の自由を主張して、モンゴル人の側と徹底的に対話しろ。個人的には後者の対応を取ってほしかったが、現在の小学館のやり方は前者でも後者でもない事なかれ主義で、やるべきではない対応である、ということです。


個人的には後者の徹底的な対話をしてほしかったのですが、小学館は既に謝ったので、選択肢は前者のみとなりました。最初は、前者も選択せずに、そのままうやむやにするつもりかと思いましたが、どうやら小学館は前者の通りに行おうとしているようです。

ただ、今も『コロコロ』を売っている店があるなど、まだ対応が十分とは言えませんし、「徹底的にモンゴル人の側に配慮して」と書いたように、モンゴル人側の要求通り原作者の吉野あすみ氏も弁明か謝罪を行うべきです。

小学館は吉野氏にそのように働きかけを行っているのでしょうか。それができていないということは、小学館はまだ社会的に責任を果たしているとは言えません。というわけで、吉野氏からの発言を待ちましょう。

なお、小学館が謝罪をしたという対応も明確に間違っていないと思いますが、普段から当たり前のように与えられている「表現の自由」とは何かをよく考え直す機会を失うことにもなりました。小学館が謝罪の道を選んだことで、抗議を恐れて出版界がさらに委縮してしまわないか、そもそも世界中のあらゆる人々の思想信条や嗜好などに配慮していたら何も表現できなくなるのではと、今回の対応には懸念します。

さらに書きますと、こちらのページによると、抗議活動が行われた日、抗議の文書が小学館に受け付けてもらえず、小学館がモンゴル大使館に出した謝罪文は、敬意を感じない内容だったとのことです。抗議の文書が受け付けてもらえなかったのは、単にアポイントが取れなかっただけのようですが、どうも小学館は今回の騒動を事務的に対応しているようにも見えます。

謝罪はします、ラクガキのコンテストも中止にしますといった表明は、とにかく騒動を鎮静化させて早くほとぼりを冷ますためにやっている気がします。日本最大級としての出版社という立ち位置の割に、社会的な責任感が大きく欠如しているように見えてなりません。

ところで、原作者の吉野氏って30歳だったのですね。私は今回の件をきっかけに「やりすぎ!!!イタズラくん」の単行本を購入しましたが、後ろの奥付のページだと、吉野氏は2013年に第72回小学館新人コミック大賞佳作を受賞し、漫画家デビューしたとあります。漫画家はかなり若いうちにデビューする人が多いので、吉野氏はおそらくまだ20代半ばだろうと勝手に想像していました。そして何よりも驚いたのは、吉野氏が女性だったことです。私はずっと男性と勘違いしていました。

あと、『やりすぎ!!!イタズラくん』の単行本の1巻と2巻をを通読したところ、これまた驚きました。単行本未収録の最初期の『クレヨンしんちゃん』とよく似ているのです。前の記事で、私はDMMブックスの無料サンプルを少し読んだところ、『かりあげクン』や『いじわるばあさん』を子供向けにした感じだと書きましたが、何話も読んでみると、実際は最初期の『クレしん』をかなり子供向けにした感じでした。

両親が登場するのがしばらくしてから、主人公は一人っ子であること、犬を飼っていて良いコンビであること、イタズラの主な標的が担任の先生やクラスの優等生であることなど、吉野氏は最初期の『クレしん』を参考にしたのではと勘ぐってしまうくらいです。もちろん、偶然だとは思いますが、イタズラ好きな子供の漫画というのは、読者の対象年齢を問わず、普遍的な法則でもあるように思えたりもします。


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