モロダシ共和国の謎

本記事は前回の続きのようなものです。クレしんの作中にあるエラー(と思われる)描写について書きたいと思います。

(おそらく多くの読者諸氏もそうでしょうが)私が以前から気になっていたのが、クレしんの単行本の29巻、またずれ荘に野原一家が引っ越してきた時に初登場した、オマタさんの母国、モロダシ共和国という国についてです。

このオマタさん、モロダシ共和国では王子という身分であり、つまり国王の息子なのですね。国王がいるのに国号が共和国とはこれ如何に。

ここで、モロダシ共和国の情報を羅列しようとおもいます。単行本の42巻からの情報です。


・国土はスネカジリ諸島に属する。
・人口は約5千万人
・日本の本州とほぼ同じ面積(つまり約22万8千km²で日本全体の約60%)
・気候は一年中温暖(ただし単行本の31巻によれば、夏は日本と比べものにならないほど暑いらしい)
・金の産出量は世界一
・代表的な航空会社の一つはティンクァス航空(略称はTAL)
・ハブ空港(と思われる代表的な空港)はタマスジ(TAMASUZI)国際空港


とまあ、こんなところです。

それで、モロダシ共和国の国家元首は誰なのかですが、残念ながらモロダシ共和国の憲法を見たことは無いですし(憲法あるのかな?)、よく分かりません。

ただ、単行本で42巻によれば、コツバーン大統領とヒップ副大統領が登場しております。つまり、この国は大統領を抱えている大統領制のように見えます。確かに共和国という国号を抱えているからには、トップは大統領となるべきでしょうが、それではこの国王は一体何者なのでしょうか。

ここで一つ予想できるのは、あくまでも名目上は共和制だけれど、今も国王が存在しているということです。昔は王政だったものの、政変か何かで共和制に移行したが、国王一家がその後も王宮に暮らして王族を名乗ることを許されたというケースです。

実際の歴史でこれに該当するのが、中国は清王朝の崩壊後における「清室優待条件」というやつです。中国の清王朝は1912年に滅亡し、代わって中華民国が成立しますが、最後の皇帝の溥儀(宣統帝)は皇帝を名乗り続け、宮殿(紫禁城)で暮らすことが許されたというわけです(後にこの取り決めは無効とされて、溥儀らは紫禁城を追い出されますが)。

とまあ、この清の王室と中華民国の関係で考えれば、わりとスッキリします。つまり、モロダシ共和国はまさに大統領を国家元首とする共和制国家でありながら、(おそらくかつての国家元首であった)国王は「国王」と名乗り続け、王宮に住み続けることが許されているという仮定です。

しかし、しかしですよ。42巻でヒップ副大統領が国王に対してこんな発言をしています。


「王様ノ弱ミニツケコミ実権ヲ握リタイノデスヨ」


つまり、裏を返せば大統領には実権、政治的権力が無く、それは国王が握っているということに。共和制を名乗っておきながら、国王に実権があるとは一体・・・。

ここから一つ仮定できるのが、国王はもはや形骸化した存在であるにも関わらず(おそらく憲法に反して)実質的な政治的実権を再び握ってしまっているという状態にあると言えそうです。

しかしまあ、これって共和制国家はもちろん立憲君主国家においてもあるまじき事態であると思うのですが。
あ、そうか。だから42巻に描かれるようなクーデターが起こるほど、政情が安定していないわけね。この王様は平和主義者であるようですが、政治に介入してしまうのはいかがなものかと思いますです。

そういうわけで、モロダシ共和国と名乗っているのになぜ国王が、という疑問はとりあえず解決できそうですが、そこから浮かび上がってくる同国の実態は、政治的にかなり不安定であるということです。もちろん、原作者にしてみれば、そちらの方が描くネタが広まるわけですが。

それにしても、オマタさんがテレビアニメに登場しないのは少し惜しいと思いますが、42巻のようなクーデターものを放送するのは少し難しいかも。

この記事へのコメント

権兵衛
2010年01月15日 00:59
モロダシ共和国の国王が日本やオランダみたいに権限に制限があるのなら誰かが国王の弱みを握って実権なんか握ったり、国王が政治介入することも無いですからね。

オマタの他に原作にしか登場してないキャラはせまし、玄武岩男、門呂親子、保根田親子等々いますが、オマタと玄武はまたずれ荘篇が終了しているしオマタの場合、話にクーデターを絡めてくるのもどうかと思うので登場するとしてもオリジナル設定でしょう。保根田親子は肝心の徳郎が原作で爆破テロで死亡してしたのを、それをそのままアニメでやるのも難があり、しかもアニメでは南米に行ったままですから原作通りは無理ですね。
まぁ、劇場版の『踊れ!アミーゴ』で玄武と姿形が同じオカマバーのママが出てきてたりしますが。
チョルス
2010年01月15日 08:23
権限に制限どころか権限事態を完全に失っている君主と言えば、スウェーデン国王があげられます。日本の天皇が持っている首相の任命権でさえ持っておらず、世界で最も象徴的な君主と言われるわけですが、憲法の規定をを破っている節がモロダシ共和国の国王にあるわけですね。ただ憲法には国王の規定そのものが無い可能性もあるので、介入しても法的に問題無いのかも。

またずれ荘の住人を中心に、特にまたぞれ荘編あたりから、アニメに登場しないキャラが増えているように思えます。やはり、クーデターやテロに関連した話などが増え、作風に過激な要素が加わったために、原作をそのままアニメ化しづらくなったというのが原因でしょうね。
映画なら、テレビほど規制などが厳しくないので、スーザン(玄武)と同じ容姿のオカマを登場させられたのでしょう。

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