「小島剛一氏のラズ語辞書刊行を祈念する会」について
前回、小島剛一氏と再会したことを書きました。今回はその3日後に行われた講演会についてです。
http://www.hituzi.co.jp/kozimalazugo/lazugokinen.html
>小島剛一氏のラズ語辞書刊行を祈念する会へのお誘い
出版社のひつじ書房の松本功社長が「小島剛一氏のラズ語辞書刊行を祈念する会」を発足させ、ラズ語とはどういう言語かということについての講演会が、東京の文京区にあるアジア学生文化会館で小島氏の講演会が開催されました(昨年と同じところです)。
この講演会については、私も以前書いたことがあります。
26日に小島氏とお会いし、講演会は29日でして、29日は仕事が会って行けるか不明瞭でしたが、夕方以降に時間がとれて、行くことができました。
既に終了していますが、以下が講演会の詳細についてです。
http://www.hituzi.co.jp/koukenkai_20130716/kouenkai_20130716.pdf
>小島剛一氏講演会
>「ラズ語の文法について」
当日、私は18時半過ぎに会場に着き、既に10数人ほどの参加者がいました。私は当初、真ん中の前から2番目の席に座りましたが、1番前の小島氏に一番近い席に誰も座らないのを見て、その一番前の真ん中の席に移りました。そして、18時50分過ぎには参加者が20人以上になり、講演会が19時に始まりました。
まずは松本社長の挨拶、ラズ語の辞書の出版という講演会の趣旨、講演会での注意事項などの説明があり、その後に小島氏の講演が始まりました。
ホワイトボードにはトルコの地図が描かれていて、ラズ語の話者の分布と、トルコにおけるラズ語の歴史についての詳しい解説が行われました。
次に、ラズ語の発音や文法についての説明ですが、私が学んだことのある言語とは全く異なる文法構造や発音に知的刺激を受けました。ラズ語の教材が忠実していても、まじめに学ぼうと思ったら相当大変だろうなと思ったりしましたが、新しい言語の習得はどれも楽ではないですね。
小島氏によると、ラズ語は標準語というものがあるわけではなく、いくつかの地方の方言があり、中部方言ではこう、西武方言ではこう、東部方言ではこうと、方言ごとに単語のつづりや発音を解説していました。
小島氏はトルコ中を歩き回ってラズ語の話者に会って、ラズ語の文法や発音について調べていったそうですが、その苦労がどれほどのものだったか、私には想像もつきません。なにしろ、ラズ語のアクセントを知るだけでも何年もかかったのだそうです。しかも、こういう調査はまだトルコが少数民族の言語を話すのを禁止していた時代ですから、極秘裏に進めなければならなかったのです。
学術研究が並大抵のものでないということは、私自身も大学院に在籍していたこともありますし、教授の話も聞いていたので、ある程度は分かっているつもりでしたが、権力からの弾圧の危険性もはらんでの研究ですから、よほどの学識と行動力が無ければとてもできないことです。
トルコの学校ではトルコ語とモンゴル語などは同源だと教えていますが、この「学説」は正しいと証明されていないそうです。トルコ人の祖先の多くは中央アジア出身だそうですが、ではなぜトルコ人と中央アジアの人々は顔つきが違うのかと疑問には、今のトルコの地に長年住んでいたために変化したということを教えているそうです。要は、進化論や遺伝学を完全に無視しているわけです。
以前、多くのイスラーム諸国ではダーウィンの進化論を否定する教育を理科の授業で教えており、政教分離であるはずのトルコでも同じ教育が行われているという話を聞いたことがありますが、今回の講演会でその理由が分かりました。それと、小島氏の著書にも書かれていましたが、トルコが政教分離国家というのは建前に過ぎないそうです。
上野や秋葉原でケバブを売っているオッサンはたいていトルコ人のようですが、そういう店は評判も良く、日本でのトルコの印象は決して悪いものではありません。旅行ツアーなども多く組まれていますし、トルコ人は親日だと言われることも多いので、それもトルコに対して良い印象を与えているのでしょう。
今回の講演会で語られていたことは、日本ではあまり報じられることのない「トルコのもう一つの顔」だったわけです。
ラズ語の文法については、小島氏がネット上でフランス語、英語、日本語、トルコ語の4言語で公開していますが、やはり紙の辞書も出版した方が良いだろうし、そもそトルコのラズ人ではネットにアクセスできる環境のない人も多いです。そういう人たちのために、神の辞書を出版しようということで、ひつじ書房が協力して今回の講演会が行われましたが、前述した松本功社長による「小島剛一氏のラズ語辞書刊行を祈念する会」で、賛同者を広く呼びかけています。
私も「小島剛一氏のラズ語辞書刊行を祈念する会」の賛同者として、私の住所やメールアドレスなどを書いた紙を講演会の日にひつじ書房の方に渡しましたが、連絡が未だに来ていません。ただでさえ本を企画出版するのは、通常はそれほど短い期間ではないでしょうが、今回は商業出版が成り立たたず、財政などの問題もあるため、まだ出版には時間がかかるようです。
商業出版が成り立たないというのは、これは大きな書店でマイナーな言語の本を手に取ったことのある方なら分かると思いますが、あまり売れないのですね。ましてはラズ語という言語を知っている人が、この日本にどれくらいいるのかと考えれば、日本ではあまり売れないでしょう。
それでも、紙の本をきちんと残し、トルコのラズ人に行き渡ることが重要なのです。出版されれば日本でも国立国会図書館にも納本されますから、半永久的にラズ語の辞書をのこすことができます。
ところで、上の「小島剛一氏のラズ語辞書刊行を祈念する会へのお誘い」のページには、以下の記述があります。
今回は、小島氏の訪日に合わせまして急遽開催したものですが、今回の講演会の成功をバネに、来年は、あらかじめ計画し、日本全国で5箇所から10箇所での講演会を開催したいと考えています。
来年も行けるか分かりませんが、ぜひとも講演会を複数で行ってほしいです。その際にはラズ語の歌も披露してくれれば、真面目だけでなく楽しい内容にもなるでしょう。
実は、講演の最後では小島氏がラズ語の歌を披露しており、これが非常に評判が良かったのです。次回はラズ語の歌を披露する催しをやろうという話も出たくらいで。言語というと難しいイメージがあったりしますが、歌ならラズ語に関心を持ってくれる人が増えるかもしれない思ったりもします。
http://www.hituzi.co.jp/kozimalazugo/lazugokinen.html
>小島剛一氏のラズ語辞書刊行を祈念する会へのお誘い
出版社のひつじ書房の松本功社長が「小島剛一氏のラズ語辞書刊行を祈念する会」を発足させ、ラズ語とはどういう言語かということについての講演会が、東京の文京区にあるアジア学生文化会館で小島氏の講演会が開催されました(昨年と同じところです)。
この講演会については、私も以前書いたことがあります。
26日に小島氏とお会いし、講演会は29日でして、29日は仕事が会って行けるか不明瞭でしたが、夕方以降に時間がとれて、行くことができました。
既に終了していますが、以下が講演会の詳細についてです。
http://www.hituzi.co.jp/koukenkai_20130716/kouenkai_20130716.pdf
>小島剛一氏講演会
>「ラズ語の文法について」
当日、私は18時半過ぎに会場に着き、既に10数人ほどの参加者がいました。私は当初、真ん中の前から2番目の席に座りましたが、1番前の小島氏に一番近い席に誰も座らないのを見て、その一番前の真ん中の席に移りました。そして、18時50分過ぎには参加者が20人以上になり、講演会が19時に始まりました。
まずは松本社長の挨拶、ラズ語の辞書の出版という講演会の趣旨、講演会での注意事項などの説明があり、その後に小島氏の講演が始まりました。
ホワイトボードにはトルコの地図が描かれていて、ラズ語の話者の分布と、トルコにおけるラズ語の歴史についての詳しい解説が行われました。
次に、ラズ語の発音や文法についての説明ですが、私が学んだことのある言語とは全く異なる文法構造や発音に知的刺激を受けました。ラズ語の教材が忠実していても、まじめに学ぼうと思ったら相当大変だろうなと思ったりしましたが、新しい言語の習得はどれも楽ではないですね。
小島氏によると、ラズ語は標準語というものがあるわけではなく、いくつかの地方の方言があり、中部方言ではこう、西武方言ではこう、東部方言ではこうと、方言ごとに単語のつづりや発音を解説していました。
小島氏はトルコ中を歩き回ってラズ語の話者に会って、ラズ語の文法や発音について調べていったそうですが、その苦労がどれほどのものだったか、私には想像もつきません。なにしろ、ラズ語のアクセントを知るだけでも何年もかかったのだそうです。しかも、こういう調査はまだトルコが少数民族の言語を話すのを禁止していた時代ですから、極秘裏に進めなければならなかったのです。
学術研究が並大抵のものでないということは、私自身も大学院に在籍していたこともありますし、教授の話も聞いていたので、ある程度は分かっているつもりでしたが、権力からの弾圧の危険性もはらんでの研究ですから、よほどの学識と行動力が無ければとてもできないことです。
トルコの学校ではトルコ語とモンゴル語などは同源だと教えていますが、この「学説」は正しいと証明されていないそうです。トルコ人の祖先の多くは中央アジア出身だそうですが、ではなぜトルコ人と中央アジアの人々は顔つきが違うのかと疑問には、今のトルコの地に長年住んでいたために変化したということを教えているそうです。要は、進化論や遺伝学を完全に無視しているわけです。
以前、多くのイスラーム諸国ではダーウィンの進化論を否定する教育を理科の授業で教えており、政教分離であるはずのトルコでも同じ教育が行われているという話を聞いたことがありますが、今回の講演会でその理由が分かりました。それと、小島氏の著書にも書かれていましたが、トルコが政教分離国家というのは建前に過ぎないそうです。
上野や秋葉原でケバブを売っているオッサンはたいていトルコ人のようですが、そういう店は評判も良く、日本でのトルコの印象は決して悪いものではありません。旅行ツアーなども多く組まれていますし、トルコ人は親日だと言われることも多いので、それもトルコに対して良い印象を与えているのでしょう。
今回の講演会で語られていたことは、日本ではあまり報じられることのない「トルコのもう一つの顔」だったわけです。
ラズ語の文法については、小島氏がネット上でフランス語、英語、日本語、トルコ語の4言語で公開していますが、やはり紙の辞書も出版した方が良いだろうし、そもそトルコのラズ人ではネットにアクセスできる環境のない人も多いです。そういう人たちのために、神の辞書を出版しようということで、ひつじ書房が協力して今回の講演会が行われましたが、前述した松本功社長による「小島剛一氏のラズ語辞書刊行を祈念する会」で、賛同者を広く呼びかけています。
私も「小島剛一氏のラズ語辞書刊行を祈念する会」の賛同者として、私の住所やメールアドレスなどを書いた紙を講演会の日にひつじ書房の方に渡しましたが、連絡が未だに来ていません。ただでさえ本を企画出版するのは、通常はそれほど短い期間ではないでしょうが、今回は商業出版が成り立たたず、財政などの問題もあるため、まだ出版には時間がかかるようです。
商業出版が成り立たないというのは、これは大きな書店でマイナーな言語の本を手に取ったことのある方なら分かると思いますが、あまり売れないのですね。ましてはラズ語という言語を知っている人が、この日本にどれくらいいるのかと考えれば、日本ではあまり売れないでしょう。
それでも、紙の本をきちんと残し、トルコのラズ人に行き渡ることが重要なのです。出版されれば日本でも国立国会図書館にも納本されますから、半永久的にラズ語の辞書をのこすことができます。
ところで、上の「小島剛一氏のラズ語辞書刊行を祈念する会へのお誘い」のページには、以下の記述があります。
今回は、小島氏の訪日に合わせまして急遽開催したものですが、今回の講演会の成功をバネに、来年は、あらかじめ計画し、日本全国で5箇所から10箇所での講演会を開催したいと考えています。
来年も行けるか分かりませんが、ぜひとも講演会を複数で行ってほしいです。その際にはラズ語の歌も披露してくれれば、真面目だけでなく楽しい内容にもなるでしょう。
実は、講演の最後では小島氏がラズ語の歌を披露しており、これが非常に評判が良かったのです。次回はラズ語の歌を披露する催しをやろうという話も出たくらいで。言語というと難しいイメージがあったりしますが、歌ならラズ語に関心を持ってくれる人が増えるかもしれない思ったりもします。
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