伊藤静氏の挑戦

1月11日放送の、2013年最初のテレビアニメ感想いきます。

OPの映像は背景が一部変わっていたり、冒頭とラストのしんのすけの顔に光沢が施されたりしていました。新しい年ということで、スタッフの気合いの入れ具合を示しているのでしょうか。

「防衛隊の隊長を決めるゾ」
(脚本:うえのきみこ、絵コンテ・演出:平井峰太郎、作画監督・原画:針金屋英郎)


公園で、風間君が防衛隊の平日のパトロール強化を提案し、風間君は自分が防衛隊の隊長であることを前提に話を進めます。

それに対してネネちゃんが反発。それにしても、「地域の平和を守りたい」を「チーズの風味を守りたい」を解釈したしんのすけは、相変わらずという感じがします。

ネネちゃんは、女の子だってリーダーシップを取る時代だと言い出しますが、この発言を聞いて思い出したのが、ハーバード大学のドルー・ファウスト学長です。ハーバード大学初の女性の学長であり、さらにこちらは初ではないですが、ハーバードに学生として在籍したことがないという、かなり珍しい学長です。

ちなみに、私は個人的にアメリカの南北戦争についていくらか関心があり、ファウスト学長のことは以前から知っていました。というのも、この人の専門分野が南北戦争史で、邦訳された著書もありますので。

ハーバード大学には、現在日本からの留学生が急減しており、そのことにファウスト学長は警鐘を鳴らしています。これは決して好ましい傾向ではないとのことです。私自身はハーバードに入学&卒業できるほどの知性は持っていませんけどw

話を戻しまして、誰がかすかべ防衛隊の隊長かを決めるのかについて議論がなされます。 風間君は英語のスピーチで決めることにしようと言い出しますが、英会話は風間君のみの専売特許なので、却下となります。

今度は、ボーちゃんが、現場に駆けつるために足が速い必要があるとのことで、かけっこで決めようと提案します。すると、しんのすけがいち早く現場に駆けつけるためにはカニ歩きが早くないとと言い出し、マサオ君は面白そうと賛成します。

さらに、ネネちゃんが隊長はユーモアのセンスが必須だからとか言い出して、もうこうなるとなんでも隊長の条件になりそうですね。

最終的に、カニ歩きで決めることになりまして、公園内の木まで行って最初にタッチした人が勝ちというルールでやります。スタートした直後にマサオ君が転びます。2013年もマサヲは不遇な泣き虫オニギリだな。

それで、しんのすけが風間くんと向き合って、「オラとトオルちゃんの初めての共同カニ歩きですカニ~」なんて言い出しますが、今年のしんかざのゲイだちも鉄板みたいです。

最初に木に手をつけたのはボーちゃんでしたが、前を向いて歩いていました。その事で しかし、ボーちゃんはミナミノコメツキガニだからと言い出します。「ミナミノコメツキガニ」、学名は"Mictyris brevidactylus"で、「とくちょう 前を向いて歩く」とのことで、「ホント」のお墨付きまで入っています。風間くんとネネちゃんは不服を申し立てると、アサヒガニやマメコブシガニまで言い出すボーちゃん。2013年も、ボーさまはクレしん界のスーパーエリートなんですね。

あと、「ミナミノコメツキガニ」については、ラテン語の学名まで登場させて説明が行われていましたが、今の『クレしん』はかつての「子供に見せたくない番組」から教育アニメ化している気がします。この事の是非は措くとしても、かなり興味深い現象なので、いつかこの件について考察してみたいとも思っています。

カニのことで話が盛り上がりだして、しんのすけが毛ガニが良いとか言い出して、だんだん防衛隊の間でカニ談義が行われ、どのカニが一番良いか園長に聞こうと、幼稚園へ走る5人ですが、風間くんによって止められます。

それで、もう一度横歩きのカニ歩きで決めようとしますが、しんのすけはダンボールで遊具の上から滑り落ちてきます。カニは家に来る際、歩いてこないとしんのすけが指摘すると、(ウサちゃん航空とでも呼ぶべき飛行機の中で)カニ2匹が飛行機に乗っています。

しかしこれって、カニが自分から食われに行く、つまり自分から殺されに行くわけですよね。そう考えると、なんてシュールなシーンなのかしらん。あと、"beef or chicken?"と機内食を訊かれて、「ノーノー僕たちカニ」と答えていましたが、カニは魚類を食べるようです。ですから、"beef or fish?"と訊かれていたら"fish!"と答えていたでしょう。

しんのすけが持っていたダンボールはゴミ集積所から持ってきたもので、そこで防衛隊の5人はそこからダンボールを持ち出して、近くの川の土手を滑って、一番に滑り落ちたのが隊長という勝負に変更します。

しかし、しんのすけはダンボールをアクション仮面の乗り物であるアクションホーク3号に見立てます。陸・海・空万能の乗り物らしいです。風間くんも知っていたみたいですが、「お子ちゃま番組は観ないというトオルちゃんにしては詳しい」と指摘されたトオルは、たまたま観ただけと見苦しい言い訳をします。2013年になっても、トオルの性格は変わらないようです。

アクションホーク3号に見立てたダンボールで土手を滑りますが、遅れていたしんのすけが石で飛ばされて着地します。一番です。かすかべ防衛隊のキャプテン、略して「かすテン」となるかと思いきや、風間君はホークに乗っていなかったからやり直しと言います。

しかし、ボーちゃんのダンボールが破れまして、しんのすけはボーちゃんと一緒に乗るのを歓迎します。さらに、マサオ君もネネちゃんも一緒に乗りたいと言い出して、しんのすけ「いいよ」と言います。やはり、しんのすけ君は良い子なんですよね。こういうところから、その優しさが垣間見えたりします。

最初は嫌がっていた風間くんも、しんのすけのダンボールについつい乗ってしまい、5人で楽しみます。アクションホークに乗っているかのような錯覚にとらわれるくらいまで。最初に5人で滑った際、、途中で石につまづいて土手の下に放り出されますが。それでも全員楽しみまして、夕方になってようやく解散します。

結局、隊長を決める件は忘れてしまったとさ。でめたしでめたし。


「見たい夢を見るゾ」
(脚本きむらひでふみ:、絵コンテ・演出:平井峰太郎、作画監督:間々田益男、原画:間々田益男・入江康智)


取調室、マサオ君がしんのすけから尋問を受けています。このシーンで、劇場版の『クレしんパラダイス』の冒頭を思い出した視聴者はけっこういたのではないかと思います。

しんのすけが机を叩くと、たくあんと七味の袋がカツ丼のどんぶりから落ちまして、白状しないとカツ丼を自分がもらうぜと脅します。自白すればカツ丼が食えるというパターンですが。さすがに実際の取り調べではこういうことはないようですが、まあ取り調べの定番ですね。

そこへ風間くんが来て、「真実はいつもひとつ」と言いますが、言うまでもなく、元ネタは「トレジャーハンターみさえ 酢乙女家の一族1」(2002年9月28日放送)に登場した『名探偵コシン』のそれと同じです。この場合、「名探偵コカン」、あるいは「名探偵コトン」になるのでしょうか。前者はヒワイな響きがしますな。ちなみに、「コ●ン」の「●」の部分をあれこれ入れ替えていますと、ゲーテの『ファウスト』のある場面を思い出します。

『ファウスト』の1224行目から始まる、ファウストが新約聖書の『ヨハネによる福音書』の冒頭の「太初(はじめ)に言(ことば)ありき」の記述の「言(ことば)」の部分はどうもしっくり来ない、他の言葉に置き換えてみよう、「太初(はじめ)に意(こころ)ありき」はどうか、いや「太初(はじめ)に力ありき」にすべきだな、うーん「太初(はじめ)に行(おこない)ありき」がいいなと、ブツブツ言うシーンがあります。

これは、マルティン・ルターが聖書をコイネー・ギリシャ語の原文からドイツ語に訳した際、原文の"λόγος"(ロゴス)をドイツ語で"Wort"(言葉)と訳したわけですが、それに対してゲーテがあえてファウストを使って疑問を呈しているようなのです。確かに、「ロゴス」は「言葉」以外にも解釈されうる語です。カール・ギュツラフの日本語訳では「カシコイモノ」になっていますし、中国語の聖書だと「道(タオ)」と訳されています。中国語訳の事はドイツ文学の大家である小塩節氏の著書『聖書に聴く』(青娥書房)から知りました。

さらに、この本からは『ファウスト』は旧約聖書のヨブ記と同様の構造を持っていることも知りました。私は、『ファウスト』の冒頭の神と悪魔(メフィストフェレス)の会話は、旧約聖書のヨブ記の冒頭の神とサタンとの会話に似ているなァと思ったことがありますが、『聖書に聴く』を読んでびっくりしたものです。まさにヨブ記のインスピレーションを受けたのが、ゲーテの『ファウスト』なんだと。

それにしても、私は高校2年生以来、『ファウスト』を何度か読んでいますが、未だによく分からないところが多いです。特に第2部がそうですが、『ファウスト』は古代ギリシャに関するあらゆる教養が試されますから、理解を深めるのにまだまだ時間がかかりそうです。というか、一生の付き合いになりそうです。あのゲーテが60年かけて完成させた大作ですからね。

ちなみに、『ヨハネによる福音書』の冒頭の「太初(はじめ)に言(ことば)ありき」はどう訳されているのか、ドイツ語訳3つ(ルター訳とヘルマン・メンゲ(Hermann Menge)訳と現代ドイツ語(Gute Nachricht版)訳)、英語訳3つ(King James VersionとNew American Standard Bible版とContemporary English Version)、日本語訳3つ(新共同訳と新改訳と文語訳)を以下に載せてみます。


Im Anfang war das Wort, (ルター訳とメンゲ訳は同じです)

Am Anfang war das Wort. (Gute Nachricht訳)

In the beginning was the Word, (King James Version訳とNew American Standard Bible訳は同じです)

In the beginning was the one who is called the Word. (Contemporary English Version訳)

初めに言(ことば)があった。(新共同訳)

初めに、ことばがあった。(新改訳)

太初(はじめ)に言(ことば)あり、(文語訳)


こうして訳を並べてみると、それぞれの訳の癖が垣間見えて興味深いです。

話が横道に逸れまくりました。「二つのハートを盗んだ罪深い恋泥棒 それは君だ」と指摘されたマサオ君ですが、あのマサヲごときがハートを二つも盗めるのかよと思いましたが、ボーちゃんによると時価一億万円するハート模様の錦鯉を2匹盗んだらしいです。なるほどね。

でも、本当なのでしょうか。マサオ君は泣きながら否認しますが、裁判官のネネちゃんが登場して、判決は焼きおにぎりの刑です。この裁判のシーンでは、『クレしんパラダイス』でしんのすけたちから裁判を受けるネネを思い出した視聴者も多かったと思います。この時のマサオ君は検察庁から起訴されたみたいですが、起訴されたら有罪率99.9%ですから、まず「勝てない」です。この数字は決して大げさではなく、本当に1000件中1件しか無罪になりません。検察官と裁判官はオトモダチとみなした方が良いです。

それで、ネネちゃんは怪獣になって、マサオ君は炎から逃げていきます。以上、マサオ君の夢の内容でした。幼稚園でそのことを4人に報告するマサオ君に対して、風間君は昨日刑事ごっこしたからではと指摘します。すると、しんのすけがネネちゃんは昨日怪獣になって火を吹いたかと言い出します。うーん、ネネちゃんならありえますな、なんてね。

この会話の中で、マサオ君は「影響する」の意味が分からず、風間君に訊きますが、風間君が説明するシーンを観て、やはり今の『クレしん』は教育アニメなのかと思ったりします。

しんのすけはアクション仮面になってななこを助ける夢を見る希望をしまして、かすかべ防衛隊の連中はアクション仮面ごっこをやって、夢を見られるようにします。フミン将軍なる敵にななこが捕らわれているという設定ですが、私はこのシーンに失望しました。

というのは、前回の次回予告、つまりこの放送の予告でななこが登場していることから、いよいよななこの声が復活するかと期待していたのですが、大きく失望しました。この時ななこの声をやっていたのは、ななこを演じていたネネちゃんだったのですから。

ちなみに、しんのすけはアクション仮面、フミン将軍はマサオ君、ななこはネネちゃん、ななこを捕えている雑魚は風間君とボーちゃんです。

しんのすけはキャスティングに無理ある不満たらたらで、ストレートなやりかたでやろうとなりまして、ななこの住むメゾン・ド・黒トカゲに行きます。えーと、原作では「メゾン毒とかげ」でしたが、原作とアニメでは違うのですね。

あと、さすがに幼稚園を抜け出したわけではないでしょう。しんのすけたちは私服を着ているわけですから、幼稚園終わった後、一旦各自家に帰ってからななこの家に行ったのでしょう。

ななこの部屋のドアが開くと忍が登場し、ここで私はまたしても失望しました。出てきたのはななこではなかったのですから。ななこの声も、ぶりぶりざえもんや部長みたいにもはや永久に封印されるのかと絶望感に襲われることになりました。

とそこへ、ななこが登場!そして声が出ます!声出たー!と私は喜びの雄叫びをあげそうになりましたが、あげられませんでした。

あまりにも違和感があったからです。

ななこの声は故・紗ゆり氏から伊藤静香氏にバトンタッチされたわけですが、紗ゆり氏の声のイメージが強かったので、伊藤氏の声では違和感ありまくりです。私は、別の意味で失望しそうでしたが、スタッフの方々がきちんと代役を立ててくださったことに、感謝の意を表したいと思います。

ななこと忍はこれから格闘技の試合を見に行くそうで、しんのすけは心残りありの状態になりますが、心残りのある方が夢に出やすいと風間くんからアドバイスを受け、さらにイメージトレーニングをやると良いと言われます。

しんのすけは風間君の言う事に従って、家でアクション仮面のDVDを鑑賞することに。みさえはひまわりと買い物にいくとのことで、見終わったらシロの散歩に行けと言われます。

しんのすけはアクション仮面のマスクをかぶり、アクション仮面の人形、ヨーヨーやストラップなどのグッズ、「よいこのえほん アクション仮面 ミミ子くん ききいっぱつ!」という絵本や「HIT アクション仮面」というCDまで出して、アクション仮面尽くしの状態にします。チョコビとプスライトを飲み食いしながら、フミン将軍を倒す話を鑑賞します。ところで、私にとってのフミン将軍はカプセルホテルに登場したりします(詳細はコチラ)。

鑑賞し終わったしんのすけに対して、シロは散歩に行けるとニコニコ顔になりますが、なかなか可愛いです。しかし、しんのすけは風間くんに電話して、さらなるアドバイスを受けます。見たい夢を絵に書く(夢の設計図)と良いと言われたしんのすけは、ななことアクション仮面とフミンの絵を書きまして、枕の下に絵を入れて寝てしまいます。シロの散歩はほったらかしになります。

夢の中で、荒野のベッドの上で、助けを求めるパジャマ姿のななこ。この時の伊藤静氏の演じるななこの声はあまり違和感が無いです。これなら、すぐにななこの声に慣れるかもしれません。

フミン将軍がが登場し、ななこは寝不足は美容の敵と言い出します。そこへ、しんのすけと郷太郎が登場し、返信しますがアクション仮面はフィギュアになってしまいます。でもソフビだからフミン将軍に押されても平気です。

しんのすけはななこのところへ飛んでいきますが、ななこは忍に変わります。しんのすけの変身も解かれ、しんのすけは絶望に打ちひしがれまして、フミン将軍もななこに戻れと言います。

しかし、ななこはななこでも、お面かぶったネネちゃんに変わります。そして、この話の冒頭のように、怪獣になってフミン将軍に火を噴いて撃退してしまいます。

さらに、空にみさえが映ってシロの散歩連れていけと言い出します。でも、怒っている感じではないので、どこか愛嬌が感じられますね。

さらに、シロがアクション仮面のソフビになり、アクション仮面がシロになり、それが何十も現れます。この夢のシーンで思ったのですが、スタッフの方々は筒井康隆氏の『パプリカ』、もしくは同作品のアニメ映画(今敏監督)を参考にしていませんかね。

で、帰宅していたみさえがうなされるしんのすけを起こそうとしていました。

今回はななこの復活という記念すべき話となりました。伊藤静氏の演じるななこはまだちょっと違和感があったりしますが、紗ゆり氏の時代が長いですから、それは当然ですね。これからも伊藤静氏の挑戦は続く、という感じになりそうです。


今回のアイキャッチは「ぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐる ぐるぐる・・・お!」 でした。


Bパート後は、映画の特報を兼ねたエンディングと、


「しん点」

です。昨年の9月には大喜利がありましたね。

ヨダさん、しんのすけに今年の映画はB級グルメということを取り上げて、このお題で何かやってくれと頼みます。

しんのすけは、

グ 具が多く
ル ルーも美味しい
メ メニューです

と言い、B級なのに答えはA級という褒め言葉をもらいます。ルーも美味しいということは、カレーを示唆しているのでしょうか。

次回は「あの有名シェフ」(誰でしょうか)とB級バトルをするとのことで、映画の宣伝がいよいよ本格化しそうな感じです。

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