名前で見るクレしん

当記事はこちらこちらの記事と関連があります。つまり、今回も名前について取り上げますです。

最近、いわゆる「DQNネーム」なるものがちと話題になっていたりします。要は、子供に奇抜と捉えられかねない名前をつける親が増加しているとのことです。いわゆる「DQNネーム」については、以下のサイトが詳しいので参照にしていただければと思います。3ページに亘る特集で、なかなか興味深い内容です。


http://bizmakoto.jp/makoto/articles/0904/24/news032.html
(魚拓)http://megalodon.jp/2010-0130-1048-33/bizmakoto.jp/makoto/articles/0904/24/news032.html

http://bizmakoto.jp/makoto/articles/0904/24/news032_2.html
(魚拓)http://megalodon.jp/2010-0130-1050-06/bizmakoto.jp/makoto/articles/0904/24/news032_2.html

http://bizmakoto.jp/makoto/articles/0904/24/news032_3.html
(魚拓)http://megalodon.jp/2010-0130-1054-52/bizmakoto.jp/makoto/articles/0904/24/news032_3.html


ちなみに、いわゆる「DQNネーム」については多くの個人のサイトやブログにも取り上げられていますが、その大半は実在するのか疑わしい名前も羅列されており、そういう名前をつける親を罵倒するという趣旨であり、そのような変なサイトは信用できないので、使い物になりません。なるべく、上記のような社会的に信用されているサイトをソースにするべきです(論文執筆の際には、一般書よりも学術書や論文を参考文献にすべしと同じですネ)。

それで、こういう個性的と言いますか、(従来の価値観からすると)妙な名前を付ける親が増えているという話を聞いて思ったのが、もしクレしんの誕生が20年遅かったら、キャラクターたちはどんな名前を付けられていたのかということです。

しんのすけ、みさえ、ひろし、トオル、ネネ、マサオ、みどり、梅等々、主要キャラの中でいわゆる「DQNネーム」に該当しそうなのはネネちゃんくらいですかね。

「しんのすけ」という名前は、昔大ヒットしたあの連続テレビ小説「おしん」から来ているようです。以前書いたことがありますが、野原しんのすけというキャラクターにはモデルがおり、それは臼井儀人氏のデビュー作「だらくやストア物語」に登場するだらくや社長の二階堂信之介なるキャラクターです。

同作品に収録されている「だらくや社長一代記」という話の中に登場する二階堂信之介の子供~若者の頃の外見と性格がしんちゃんとよく似ており、また「一代記」の内容自体が「おしん」のパロディであることは容易に想像できます(現在は「だらくや」の単行本は全て絶版となっていますが、今でも入手可能の「臼井儀人こねくしょん」にもこの「一代記」は収録されています)。

そういうわけで、おしんが二階堂信之介のモデルであり、二階堂信之介のモデルが野原しんのすけなので、おそらくしんちゃんの名前はクレしんの連載が20年遅れても、名前がしんのすけであったことは必然であったと言えると思います。まあ、そんな想像上の出来事をあれこれ考えても、あまり意味は無いかもしれませんが。

ただし、他のキャラクターに関しては、やはり別の名前が付けられたのではないかと思ったりします。例えば、風間君は某芸能人と同姓同名のようで、もし連載が遅れていたらその時代に知られている芸能人から取られていたでしょうね。

ここで、明治安田生命のサイトにある「生まれ年別名前ベスト10」というページを以下に紹介します。なかなか興味深いです。

(男性)http://www.meijiyasuda.co.jp/profile/etc/ranking/year_men/
(女性)http://www.meijiyasuda.co.jp/profile/etc/ranking/year_women/

クレしんの連載が始まった1990年当時の男性名のベスト3は翔太、拓也、健太、女性名では愛、彩、愛美となります。
それから20年後、2010年の名前はと言いますと、まだ紹介されていないので、2009年の方を代わりに書きます。
2009年の男性名のベスト3は大翔、翔、瑛太(と大和)、女性名では陽菜、美羽、美咲となります。

男性名では「翔」の字が根強い人気があるようで、20年間でそれほど激変しているという感はあまりしませんが、女性名は男性名に比べるとかなり変わっているような気がします。「愛」や「美」が人気あるのは相変わらずですが。

これを見て思ったのは、男性名の変遷から「マサオ」という名前は1990年当時でも比較的「古風」とも言える名前だったのかもしれず、仮に20年連載が遅れても「マサオ」という名前が付けられていたかも。逆に言えば、臼井氏は「マサオ」という名前に何らかの思い入れがあった可能性も考えられます。裏付けなんかは何もないので、推測(というより妄想)の域を出ませんが。

「ネネ」という名前は昔も今もあまり見られませんね。これは、適当に語感からつけたのかもしれません。

クレしんの男性キャラで見ると、ひろし、銀の介、せまし、よし治、トオル、マサオ、やすお(チータ河村)、(おケイの旦那と息子の)さとしとひとし等々、いわゆる「DQNネーム」ではないですね。中には内巣塩人(ないすしおと)とか須毛駒志郎(すけこましろう)なんてのもいますが、これらは明らかにギャグですから。こういうギャグに基づいた名前は、基本的に取り上げないことにしています。なお、ボーちゃんの本名は不明なので、なんとも言えません。

昔から登場している、もしくは大人のクレしんの女性キャラでは、みさえ、つる、ひさえ、(よしなが)みどり、(まつざか)梅、ななこ、ケイ子(おケイ)などがいます。いわゆる「DQNネーム」に該当しそうにないですね(むさえはかなり風変りですが、これはギャグの意図があっての名前でしょう)。それに、「愛」や「美」といった漢字が使われているキャラもいません。ここであげていない他のキャラに関してはこの限りではないでしょうが。

最近の登場した(幼児以下の)キャラになるとちょっと事情が変わります。「愛」ですが、酢乙女あいちゃんがいますね。ひらがな表記ではありますが、「愛」という感じを意識して名付けられたことはまず間違いないでしょう。「ひまわり」というのは、ウーンこれっていわゆる「DQN」ネームに該当する可能性もあるでしょうが(現実にこういう名前をつける人もいないでしょうし)、そもそもひまわりの名前がついたのは96年で「最近」とは言えませんね。この名前は臼井氏が応募者の中から選んだわけで、あくまでも語感などからであり、いわゆる「DQNネーム」に類するとは言えないでしょう。

そもそも、その手の名前は天使(みかえる)や美海(まりん)など、読めないのが大半ですし。ここで個人的な思いを。こういう名前はやめてくれと言いたいです。理由はただ一つ、読めないから。法務省の戸籍統一文字情報に登録されている範疇にとどめて欲しいです。

かく言う私も、実は本名は漢字がかなり難しいもので読める人は少なかったりします。ただ、上の法務省のサイトにはキチンと登録されている読み方でありますです。

さて、女性名の名前についての続きですが、単行本の39巻で生まれたよしなが先生の娘が桃(もも)と名付けられており、まあ読めるという意味でいわゆる「DQNネーム」から一線を画するものですが、明治安田生命のサイト内にある、最近の人気のある名前に通じるところがあります。

この辺りに、最近の女性名の動向にクレしんもある程度反映されているということが窺えるかと思います。1994年の連載時で生まれたおケイの息子の名前がひとしとなっていますが、これが2004年だったら、おそらくもっと「先進的な」名前が付けられたと思います。例えば、近年は一文字だけの男性名が人気を博している感じなので。

ただし、前述の「桃」と言えば作家のいいだもも(本名は漢字で飯田桃)がいたりします。男性なんですけどね。臼井氏はいいだももの存在を知らなかったのかも。そのいいだももは1926年生まれで、当時の男性名のベスト3は清、勇、博なので、一文字だけの漢字の名前というのはさほど珍しいものではなかったと言えます。まあ、それでも「桃」という男性名はかなり奇抜な印象を受けますが。

余談ですが、いいだももは東京大学(入学時は東京帝国大学)を主席で卒業しており、この時の次席が三島由紀夫だったりします。

女性名で一つ気付いたのは、最近の女性名では「子」があまり使われていないという点です。クレしんでもケイ子、ミミ子、(迷子センターの)越谷順子など、「子」のつくキャラが何人か出ていますが、上の明治安田生命のサイトでは90年代前半頃は既に「子」という名前は人気がありませんでした。「子」という名前は80年代前半にかけて人気を失ったようです。私自身、近年の女性名において「子」離れが顕著であるという話を聞いていましたが、まさに事実であったわけですね。

ここで思い出すのが、「サザエさん」の長谷川町子さん(1920年生まれ)の家族なんですね。町子さんのお母さんの名前は貞子さんで、娘さんがそれぞれ毬子さん、町子さん、洋子さん。そして、この3姉妹のうち、洋子さんだけがお子さんに恵まれ、二人の娘さんがいましたが、その名前が隆子さんに彩子さんと、3代に亘って「子」がついているのですな。いくら昔でも、かなり珍しいことだったのかもしれません。

ところで、以前「おとしものですよぉ!だゾ」(2007年6月22日放送)という話でマチコという名前の女性キャラが登場しており、作中からも推測できるように「まいっちんぐマチコ先生」から拝借したもののようですが、どちらかと言えば古風な感じの名前ですよね。

で、今まで書いてきて思ったのは、酢乙女あいや石坂桃など、最近の風潮の反映が窺える名前のキャラもいますが、クレしんに登場してきたキャラの大多数は、比較的古風というか、今ではあまり流行らない昭和時代の頃の名前が付けられるケースが多いようです。

もし、クレしんの連載が20年遅れても、名前に関してはあまり変わらなかったかもしれません。今後、新しい作家を起用してクレしんの原作が「継続」されるようで、今後の動向についてはなんとも言えませんが、少なくとも天使(みかえる)や美海(まりん)など読めない名前が使われることは無いと思います。

この記事へのコメント

権兵衛
2010年02月01日 00:42
須毛駒志郎やせましはギャグだとわかるので別にDOQとかとは思わないですよね。
リンク先に載っているDOQな名前の奏人(たくと)、天使(みかえる)なんて読み仮名無しでは知らないと読めませんね。樹里亜菜なんかバブルの頃を思いよこさせますし、楓で「はいじ」と読むのはアルプスの少女ハイジが最初に日本語訳されたときハイジの名前が楓と表記されてたことに由来するんでしょうが『普通に''かえで''でいいじゃん』と思ってしまいます。
ネネってDOQネームなんですかね。豊臣秀吉の正室、高台院の俗名''ねね''や女優の大塚寧々さんとかがいるためか、特にDOQとは思いませんでした。
昔から変わった名前の方はいらっしゃいますが、その中に俳優の下條アトムさんがいます。アトムという名前は本名なのですがこれは、下條さんの父は息子が第二次大戦収束直後に生まれたことから、日本人の名前もアメリカと同じ、名・姓の順になり文字もローマ字で書かれると考え名簿等で最初に呼ばれるアルファベットのAから始まる名前を思いこの名前になったそうです。それは鉄腕アトムが発表される前のことで偶然の一致なんですよねぇ。また小学校の同級生にウランという名前の子がおり当時は少々話題になったそうです。あと、漫画家の萩尾望都さんの名前もそうです。望都で「もと」と読むのですが、萩尾さんが父に名前の由来を聞くたびに答えが違ったので真相は不明だどうですが、萩尾さん曰くモーツァルトの「も」と「と」を組み合わせたのが有力だそうです。

子の字がつく名前が減っているのはどうしてなんですかね。別に古臭くは感じませんしそれを言うなら、キヌ・おとら・イトとかのほうがそう感じます。やはり社会情勢の変化や、使える文字が増えてきたせいなんでしょうね。
チョルス
2010年02月02日 07:34
いわゆる「DQNネーム」は困ったものだと思います。そうでなくても、読むのがかなり難しい名前も増加しており、これらはどうも日本語レベルが高い人間のやる事とは到底思えず、レベルの低い人間が無理して背伸びしようと高く見せようとしているのだと思います。かなり辛辣な言い方かもしれませんが、それが私の本音だったりもするので。近い将来、名前が読めないという事が社会問題になっているかもしれません。
ネネちゃんですが、どうも響きから「DQN」のような感じに聞こえ、また「ネネ」に該当する著名人などが思い浮かばなかったのですね。しかし、女優の大塚寧々さんなどがいらっしゃるわけで、この点に関しては私の見識不足でありました。ですから、「DQN」ではないでしょうね。
風変わりな名前というのは、やはり昔から少なからず存在するようで、そこで思い出したのが森鴎外も自分の息子や娘に於菟(おと)や茉莉(まり)など、また孫に真章(マックス)といった(日本名にしては)妙な響きの名前をつけていたことです。西欧人に覚えてもらえやすいという意図によるものだったそうです。

「子」のつく名前が減少しているのは、記事本文のリンク先のデータから明らかなのですが、理由までは書いていないのでよく分かりません。最近の名前の傾向から推測すると、「子」がかなり簡単な文字であるからあまり好まれないのかもしれません(画数の多い字が人気を集めていると、データから読み取れなくもないので)。あるいは、何となく「ダサイ」というイメージが若い夫婦の間で存在している可能性もあります。ちなみに、「子」のつく名前について以下(↓)のような本があったりします。

http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4896915828/itmedia-22/ref=nosim/

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